2025年08月14日
【年収研究シリーズ】野村総合研究所(野村総研・NRI)の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。
株式会社野村総合研究所は、日本最大手の証券会社である野村證券などを子会社に持つ野村グループの一員で、野村ホールディングス(23.0%出資)を親会社とする事業会社です。18社の連結子会社を有し、野村総合研究所(NRI)グループとして事業を展開しています。
野村総合研究所(単体)は、コンサルティングから金融IT、産業IT、IT基盤サービスまでの中核事業を担っており、連結子会社が、セキュリティ(NRIセキュアテクノロジーズ)やデジタル変革支援(NRIデジタル)、データ分析・AI(NRIデータiテック)などの専門領域や海外展開を担当する構造となっています。
同社の最大の特徴は、戦略立案から実行支援まで一貫して提供できる「トータルソリューション」にあります。多くのコンサルティングファームが戦略立案に特化する中、野村総合研究所は自社でITシステムの開発・運用まで手がけることで、提案した戦略を確実に実現に導く体制を構築しています。
特に金融分野では国内最大級のシェアを持ち、国内金融機関の基幹システムの多くを手がけるなど、日本の金融インフラを支える重要な役割を担っています。
野村総合研究所は、グローバルで多様な事業を展開しています。2025年3月期の有価証券報告書に基づく最新の事業セグメントの構成・業績・従業員数推移は下記の通りです。
コンサルティング事業:企業戦略・業務改革・IT戦略等の経営コンサルティング(戦略立案から実行支援まで一貫提供)金融ITソリューション事業:銀行・証券・保険・資産運用等の金融機関向けITソリューション(国内金融機関の基幹システムを多数手がける)産業ITソリューション事業:製造業・流通業・サービス業等の民間企業向けITソリューション(業界特化型システムを提供)IT基盤サービス事業:データセンター・クラウド・ネットワーク等のITインフラサービス(24時間365日の運用サービス)なお、グループ全体では連結子会社18社が専門領域を担当しており、主要子会社としてNRIセキュアテクノロジーズ(セキュリティ事業)、NRIデジタル(デジタル変革支援)、NRIデータiテック(データ分析・AI)、NRIネットコム(ネットワーク・通信)、NRIプロセスイノベーション(BPO事業)などがあります。
海外ではNRI Australia Limited(オーストラリア事業)、Convergence Technologies, Inc.(米国IT事業)などを通じてグローバル展開を推進しています。
2025年3月期における事業セグメント別の業績と事業構造は以下の通りです。
注釈:売上収益およびセグメント利益は億円単位、利益率は売上収益に対する割合を示しています。
事業構造の特徴:
金融ITソリューションは、売上の約半分(47.9%)を占める主力事業です。IT基盤サービスは、売上規模は小さいものの利益率45.0%と最も高収益です。コンサルティングは、利益率30.5%と高く付加価値の高い事業です。産業ITソリューションは、売上規模は大きいものの利益率9.1%と相対的に低いです。2025年3月31日現在のセグメント別従業員数は以下の通りです。
注釈:従業員数は2025年時点の数値、構成比は連結合計に対する割合を示しています。
従業員数で最大規模のセグメント(36.2%)は産業ITソリューションで、金融ITソリューション(30.7%)がこれに続いています。売上構成比では金融ITソリューションが47.9%と最大であるのに対し、従業員構成比では産業ITソリューションが最大となっており、事業の労働集約度に違いがありそうです。
野村総合研究所(単体)の2025年3月期有価証券報告書によると、平均年収は1,321万円です。これは単体の全従業員を対象とした実績値で、職種・年代ごとレンジやグループ全体平均とは異なります。
出典:野村総合研究所 有価証券報告書(各年度)。いずれも単体実績。「賞与・基準外賃金」含む。
2025年3月期の平均年間給与(1,321.7万円)は過去最高水準となりました。野村総合研究所の平均年収は2021年の1,156.4万円から2025年の1,321.7万円へと、5年間で約165万円上昇しており、継続的な成長を示しています。
この高水準の年収は、同社の「コンサルティング」と「ITソリューション」の両方を提供する独自のビジネスモデルによるものです。特に金融分野での高い専門性と、デジタルトランスフォーメーション需要の拡大が、高付加価値サービスの提供と収益性向上に寄与しています。
また、2018年から2024年にかけて単体従業員数は着実に増加しており、事業拡大に伴う人材採用が活発に行われています。野村総合研究所では年俸制を採用し、個人の成果と貢献度に応じた報酬体系を構築しており、優秀な人材の確保と定着に成功しています。
野村総合研究所では年俸制を採用しており、年齢と経験に応じた報酬体系が構築されています。同社の年代別年収水準は、業界内でも特に高い水準を維持しています。
注釈:年収レンジは目安です。
20代後半でも年収600-1,000万円のレンジに位置し、これは同世代の平均年収(約300-400万円)を大幅に上回る水準です。30代前半で年収1,000万円を超えるケースが一般的で、これが同社の大きな魅力となっています。
40代では年収1,300万円以上が標準的となり、特に管理職や高度な専門職では年収2,000万円を超えるケースも珍しくありません。この高水準の年収は、同社の高付加価値サービスと安定した収益基盤によって支えられています。
野村総合研究所の平均年収1,321万円は、コンサルティング・IT業界において最高水準に位置しています。主要な競合他社との比較は以下の通りです。
注釈:一部数値は推定値を含みます。
野村総合研究所は同業他社と比較して圧倒的に高い年収水準を実現しています。特に平均年齢39.9歳で1,321.7万円という水準は、総合コンサルティング・IT業界において最高クラスです。
戦略立案から実行支援まで一貫して提供できる点が同社の強みであり、より安定した事業基盤と長期的なキャリア形成が可能という特徴があります。ITソリューション事業による安定収益基盤があることで、景気変動に左右されにくい報酬体系を実現している点も大きな魅力です。
プロジェクトマネージャー職では平均1,200万円を超える人も多く、最も高い年収水準となっています。大規模プロジェクトの統括責任を担うため、高い専門性と管理能力が評価されています。
コンサルタント職は1,000万円を超える水準が期待でき、戦略立案から実行支援まで幅広い業務を担当します。クライアントとの直接的な接点が多く、高い付加価値を提供する職種として位置づけられています。
エンジニア・SE職でも900万円台の年収が見込まれ、これは業界平均を大幅に上回る水準です。システム開発や技術的な専門性が高く評価されており、特に金融ITやデジタル技術分野での経験者は高い処遇を受けています。
営業職は1,000万円前後の年収となることが多く、顧客開拓や関係構築における成果が直接的に評価されます。また、AE(アプリケーションエンジニア)は800万円台が一般的で、アプリケーション開発における専門性が評価されています。
野村総合研究所では、2022年4月に新人事制度を導入し、「チーフエキスパート」という管理職と同格のスペシャリスト職階を新設しました。これにより、マネジメント志向でない専門職でも高い処遇を受けることが可能になっています。
新卒入社の場合、修士了で年収450-500万円程度からスタートし、成果と能力に応じて段階的に昇格・昇給していく仕組みとなっています。同社では個人の専門性と貢献度を重視した評価制度により、優秀な人材には年次に関係なく早期昇格の機会も提供されています。
野村総合研究所(NRI)社員の給与明細(キャリコネ)
20代でも十分高いが30代になれば大台に!
20代・コンサルタント・賞与あり(非管理職)の 給与明細
30代・コンサルタント・賞与あり(非管理職)の 給与明細
同年齢でも能力によっては◯倍の格差が!
20代・ビジネスアプリケーションSE・賞与あり(非管理職)の 給与明細
20代・ビジネスアプリケーションSE・賞与あり(非管理職)の 給与明細
野村総合研究所への転職や就職を検討する際に、高年収の魅力だけでなく、以下の留意点も考慮する必要があります。
高い成果要求と競争環境
年俸制による成果主義のため、継続的に高いパフォーマンスを求められます。特にコンサルティング職ではクライアントの期待値が非常に高く、常に最高品質のアウトプットが要求されます。また、優秀な同僚との競争環境も激しく、継続的なスキルアップが不可欠です。長時間労働の可能性
プロジェクトの性質上、繁忙期には長時間労働となる場合があります。特に大型案件のデッドライン前や、クライアント先での常駐業務では、ワークライフバランスの調整が困難になることもあります。専門性の継続的な更新要求
IT業界の技術革新スピードが速いため、常に最新の知識・スキルの習得が求められます。特にデジタル技術、AI、クラウド等の分野では、継続的な学習投資が必要となります。高年収以外にも、野村総合研究所には多くの魅力的なメリットがあります。
圧倒的な成長機会
日本最高峰のコンサルティングとIT技術を同時に学べる環境は他に類を見ません。大手企業や官公庁の重要プロジェクトに参画することで、通常では得られない貴重な経験を積むことができます。安定した事業基盤
金融ITソリューション事業による安定収益があるため、景気変動に左右されにくい経営基盤を持っています。これにより長期的なキャリア形成と安定した雇用が期待できます。充実した福利厚生
企業年金制度:退職後の生活保障住宅支援制度:住宅ローン金利優遇、社宅制度教育研修制度:MBA取得支援、海外研修機会健康管理支援:定期健康診断、メンタルヘルスケアワークライフバランス支援:フレックスタイム、在宅勤務制度高いブランド価値
野村総合研究所での経験は転職市場で非常に高く評価されます。同社出身者は戦略コンサルティングファーム、外資系企業、ベンチャー企業等で重要ポジションに就くケースが多く、キャリアの選択肢が大幅に広がります。社会貢献性の高い仕事
日本の社会インフラや企業の競争力向上に直接貢献できる仕事内容のため、高い使命感とやりがいを感じながら働くことができます。特に金融システムや政府系プロジェクトでは、社会全体への影響力の大きな仕事に携わることが可能です。野村総合研究所は、高年収だけでなく、専門性向上、安定性、社会貢献性を兼ね備えた理想的な職場環境を提供しており、長期的なキャリア形成を考える上で非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。
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